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アスベストの定性分析と定量分析の違いとは?分析の種類や流れ、費用相場も解説

「アスベストの定性分析とは?」「定量分析との違いは何?」と疑問に思っている人もいるでしょう。そもそもアスベストとはどういうものなのか、詳しく分からない人もいるかもしれません。本記事では、アスベストの定性分析の必要性や種類、定量分析との違いを解説しています。また、定性分析の費用相場と流れ、分析を依頼する際の業者選びのポイントも紹介しています。ぜひ参考にしてください。

そもそもアスベストとは?

アスベスト(石綿)とは天然の繊維状鉱物で「せきめん」や「いしわた」とも呼ばれています。アスベストはこれまで、主に建築物の天井や壁に使用されていました。しかし、アスベストによる健康被害が報告されるようになり、平成18年以降は使用が禁止されています。

アスベストの定性分析とは?

アスベストの定性分析とは、建築物などにアスベストが0.1%を超えて含有しているかを調べる分析です。事前調査でアスベストの有無が分からなかった場合、分析調査を行うことが義務付けられています。ここでは、アスベストの定性分析が必要な理由と、定量分析との違いを解説します。

アスベストの定性分析が必要な理由

アスベストを大量に長期に渡って吸い込むと、肺がんや悪性中皮腫などの病気を発症する可能性があります。そのため、解体やリフォームをするときは事前にアスベストの有無を明らかにしなければなりません。建築物にアスベストが使用されているかどうかは、目視で確認することは難しいため、建築物の一部を採取して分析する必要があります。

アスベストの定性分析と定量分析の違い

アスベストの分析方法には「定性分析」と「定量分析」があります。定性分析はアスベストの有無を調べる分析方法で、定量分析は含有量を調べる分析方法です。先に定性分析を行い、アスベストが含まれていなければ定量分析の必要はありません。

アスベストの定性分析の種類

アスベストの定性分析には「JIS A 1481-1」と「JIS A 1481-2」の二種類があります。それぞれどのような分析方法なのか、詳しく見ていきましょう。

JIS A 1481-1

「JIS A 1481-1」は、偏光顕微鏡や実態顕微鏡を使って分析を行う方法です。対象物の形態や光学的特性を確認し、アスベストが含まれているかを判断します。対象物が層になっていても、層ごとに分析が可能です。解体・リフォームの際には「JIS A 1481-1」の方法で分析を行うのが一般的です。

JIS A 1481-2

「JIS A 1481-2」は、X線回析装置や位相差・分散顕微鏡を使って分析を行う方法です。対象物を特定の液に浸すと、屈折率によって色が変化します。この色の変化でアスベストが含まれているかを判断します。分析の際には対象物を粉砕するため、層ごとの分析は困難です。

アスベストの定性分析の費用相場

アスベストの定性分析にかかる費用は、分析する対象物一つにつき約2万円が相場となっています。また、「JIS A 1481-1」よりも「JIS A 1481-2」の方が費用が高い傾向があります。対象物の数が多い場合や、定量分析も行う場合はさらに費用が高くなるでしょう。正確な費用を知りたいときは、事前に業者に確認しておくのがおすすめです。

アスベストの調査から定性分析の流れ

アスベストの有無を調べるときは、まず書面と現地で調査を行います。その際アスベストの有無が明らかにならなかった場合は、分析調査に移ります。実際にどのような順序で調査→分析が行われるのか、流れを見ていきましょう。

1.書面調査

書面調査とは、建物の設計図や仕様書を確認しながらアスベストが含有されているかを調べる調査です。使われている建材や工法から、アスベストの含有が明らかになることもあります。その場合は、すぐに除去工事に移るケースもあります。

2.現地調査

書面調査で分からなかった点があったときや、詳しく調査をしたいときは現地調査を行います。設計図や仕様書と照らし合わせながら、書面と違っている部分がないかを確認し、アスベストの有無を判断します。

3.分析調査

現地調査でアスベストの有無が判断できなかった場合は、建材の一部を採取して分析を行います。先述したように、まずは定性分析を行い必要に応じて定量分析も行います。

4.報告書の作成

調査が終了したら、報告書を作成して調査結果を報告します。アスベストの有無に関わらず、調査結果の報告は必須です。2022年4月1日以降は、以下の条件を満たしている場合「アスベスト有無の事前調査結果」の報告が義務付けされました。

・建築物の解体作業において、対象の床面積の合計が80㎡以上

・建築物の改造・補修作業、工作物の解体・改造・補修作業の請負代金の合計額が100万円以上

アスベストの調査や分析を依頼する業者の選び方

アスベストは人体に影響を及ぼす可能性があり、慎重な調査・分析が必要です。そのため、責任を持って調査や分析をしてくれる業者を選ばなければなりません。ここでは、アスベストの調査・分析を依頼するときの業者選びのポイントをご紹介します。

料金設定が明確になっている

依頼する業者を決めるときは、料金設定が明確かどうかをチェックしましょう。後から高額な追加料金を請求してきたり、適切な調査・分析をしてくれない業者も存在します。他社と比べて安すぎる、高すぎると感じたときは慎重に見積もり内容を確認しましょう。

報告書の作成実績が豊富

アスベストの調査・分析は、過去の実績がある業者に依頼するのが安心です。先述したように、アスベストを調査・分析したら、都道府県等に結果を報告することが義務付けられています。業者によっては、ホームページやSNSに報告書の作成実績を掲載していることもあるため、事前に確認してみるのがおすすめです。

適切な資格を保有している

アスベストの事前調査は「一般建築物石綿含有建材調査者」「特定建築物石綿含有建材調査者」「一戸建て等石綿含有建材調査者」を保有している人しか行えません。依頼する業者を探すときは、まずこれらの資格を保有している人がいるかどうかを確認しましょう。

複数業者に見積もりを依頼する

業者選びをするときは、複数業者に見積もりを依頼するのがおすすめです。1社だけで決定してしまうと、他社との比較ができず高額請求に気付かないケースもあります。また、作業員の対応や見積書の細やかさも比較した方がよいでしょう。できれば3〜4社に見積もりをお願いし、信頼して任せられる業者に調査・分析を依頼しましょう。

まとめ

アスベスト(石綿)とは天然の繊維状鉱物のことで、これまで多くの建築物に使用されてきました。しかし、アスベストが人体に影響をもたらすことが明らかになり、現在は使用が中止されています。ただし、解体を行う際にアスベストが飛散する恐れがあるため、事前に調査・分析を行わなければなりません。アスベストの分析にはアスベストの有無を分析する「定性分析」と、アスベストの含有量を分析する「定量分析」があります。定性分析はさらに「JIS A 1481-1」と「JIS A 1481-2」に分けられますが、「JIS A 1481-1」が用いられることが一般的です。定性分析の相場は検体一つにつき2万円と考えておくとよいでしょう。アスベストの調査・分析は、書面調査、現地調査、分析調査、報告書作成の順に行われます。依頼する業者を選ぶときは、資格を保有しているか、実績が豊富かどうかを確認しつつ、複数業者に見積もりを依頼して料金や対応を比較するのがポイントです。

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Writer この記事を書いた人

西日本アスベスト調査センター(NARC)

1988年設立の当センターは、岡山を拠点に中四国エリアでアスベスト調査・除去を専門としています。豊富な経験と専門知識を持つチームで、安全かつ迅速なサービスを提供。このブログではアスベストに関する重要な情報や安全対策を発信していきます。

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