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アスベスト含有屋根材の見分け方とは?工事前の調査義務や撤去費用相場を解説

「自宅の屋根にアスベストが使用されているかもしれない」「アスベストが含まれている屋根の撤去費用はどれくらい?」など、アスベスト屋根への不安を抱えていませんか。本記事では、屋根にアスベストが含まれているかを判断する方法や、どんな屋根材にアスベストが使われているのか、撤去費用の費用相場などを分かりやすく解説しています。アスベスト屋根に不安がある方は、ぜひ参考にしてみてください。

そもそもアスベストとは?

そもそもアスベストとはどのような物質なのかご存じでしょうか。まずは、アスベストの特徴や身体への影響について解説します。

アスベストの特徴

アスベストは世界各地で産出される繊維状の鉱物です。耐熱性や遮音性、耐摩擦性などに優れていて、様々な建築現場で活躍していました。汎用性が高いことに加え、産出量が多く価格が安かったため「奇跡の鉱物」とも呼ばれています。使用が全面的に禁止された2006年以前に建てられた建築物には、屋根以外にも、天井や床、外壁などあらゆる部分にアスベストが使われていました。

アスベストによる健康被害

アスベストによる健康被害はどれも深刻で、潜伏期間が長いものばかりです。アスベストを吸い込んで発症する恐れがある病気は以下の通りです。

  • 石綿肺
  • 肺がん
  • 悪性中皮腫

いずれも潜伏期間は15〜50年と長く、症状に気付いたときには命に危険が及んでいるケースもあります。どのくらいの量を吸い込んだら発症するのかは明らかになっていません。気になる症状がある場合は、早い段階で専門医療機関を受診するのが安心です。

屋根にアスベスト(石綿)が含まれているか判断する方法

屋根にアスベストが使われているかを知りたいときは、「築年数」と「屋根材」を確認してみましょう。ここでは、アスベストの有無を確認するためにチェックするべきポイントを解説します。

築年数を確認する

アスベストが0.1%以上含まれている製品は、2006年に製造・輸入・使用が全面的に禁止されました。そのため、2006年以降に建てられた建物であれば、アスベストが使われていない可能性が高いです。反対に、2006年以前に建てられた建物は、高確率でアスベストが使用されていると言えるでしょう。ただし、築年数だけでは確実な判断は不可能なため、解体やリフォームを検討している場合は、アスベスト事前調査を行わなければなりません。

屋根材を確認する

屋根材は主に瓦、スレート、金属に分けられます。この中でアスベストが含まれている可能性があるのは、スレート、粘土瓦以外の瓦、セメント瓦などです。手元に設計図や施工図があれば、どの屋根材が使われているか確認してみましょう。もし屋根材の詳しい名称や製造番号が分かる場合は、国土交通省や日本石綿協会のホームページでアスベストの有無を調べられます。

屋根にアスベスト(石綿)が使われていた場合すぐ撤去しないと危険?

屋根にアスベストが使われていたと分かった場合、健康への影響が心配になるでしょう。アスベストが露出しているなど明らかな劣化がない場合は、アスベストの飛散リスクは低いため、急いで撤去する必要はありません。ただし、激しい劣化やひび割れが多く見られるときは、早めに専門業者に相談し、指示を仰いだ方がよいでしょう。

アスベスト(石綿)含有屋根のメンテナンス方法

アスベストが使用されている屋根は「塗装工事」「屋根カバー工法」「葺き替え工事」でメンテナンスをする必要があります。それぞれどのようなメンテナンス法なのか、詳しく見ていきましょう。

塗装工事

目立った劣化が見られない場合は、定期的に塗装を行う塗装工事でアスベストの飛散を防げます。ただし、スレートの耐用年数は20〜30年のため、段々とひび割れなどの劣化が現れてくるかもしれません。無理に撤去をする必要はないですが、塗装だけで補修し続けるのは難しいでしょう。

屋根カバー工法

屋根カバー工法は、現在の屋根の上に新しい屋根材を乗せる方法です。作業時にアスベストが飛散するリスクがなく、アスベストの屋根材を撤去する費用もかかりません。しかし、元々の屋根の状態によっては新たな屋根を乗せられない可能性もあります。また、カバー工法を行えるのは基本的に1回のみで、2回目からのメンテナンスの際には別の方法を考えなければなりません。

葺き替え工事

葺き替え工事は、現在の屋根を撤去して新たな屋根材に葺き替える工事です。アスベストが完全に撤去されるため、アスベストによる健康被害への心配はなくなります。ただし、他の工事に比べて工期が長く、費用もかかってしまいます。葺き替えをする必要があるかどうか、業者と相談しながらメンテナンス方法を決定するのがよいでしょう。

アスベスト(石綿)が含まれている代表的な屋根材

続いては、アスベストが含まれている代表的な屋根材を紹介します。自分の家の屋根に当てはまるものがあるかもしれません。見分けが難しいことも多いため、心配なときは専門業者に相談をしてみましょう。

コロニアル

旧クボタ(現:ケイミュー)の「コロニアル」というスレート屋根には、アスベストが含まれています。1961〜1986年頃に販売されていた製品のため、この頃に建てられた住宅には屋根材として使用されている可能性があります。ただし、現在販売されているノンアスベストの製品と見た目が似ているため、見分けるのは難しいかもしれません。

アーバニー

同じく旧クボタ(現:ケイミュー)の「アーバニー」というスレート屋根にも、アスベストが含まれています。1982〜1994年頃に販売されていた製品で、高級感のあるおしゃれな外観が特徴です。こちらも後に同じデザインのノンアスベストの製品が発売されています。

かわらU

旧セキスイルーフテック(現:積水屋根システム株式会社)の「かわらU」は、スレート板ながら瓦風のデザインが魅力の屋根材です。1975〜1990年に販売されていたものにはアスベストが含有されています。

2022年4月から工事前のアスベスト(石綿)の調査と報告が義務化

2022年4月に「大気汚染防止法」と「石綿障害予防規則」が改正され、建物の解体やリフォームを行う前に、アスベスト調査を実施し結果を報告することが義務付けられました。ここでは、調査の対象となる工事や、結果の報告方法、罰則について解説します。

リフォームや解体を行う際には必ずアスベストの含有調査をしましょう

前述したように、アスベストの有無は築年数や屋根材、建材の種類からある程度判断できます。ただしいずれも確実な方法ではなく、リフォームや解体を行う際はアスベストの含有調査をしなければなりません。アスベスト調査は有資格者が行う必要があるため、専門業者に依頼し、調査してもらいましょう。また、調査後はアスベストの有無に関わらず、行政機関に結果を報告します。報告書は事業者側で3年間保存しなければなりません。

報告が必要な工事

アスベスト調査の結果報告が必要な工事には以下のような条件があります。一つでも当てはまる場合は行政機関への結果報告が必須です。

建物の床面積が80㎡以上の工事

床面積が80㎡以上の建物を工事する場合は、調査結果の報告が必要です。屋根だけにアスベストが含まれていた場合でも「床面積」が基準となります。基本的には床面積よりも屋根面積の方が広いため、屋根面積が80㎡以上ある場合は、結果を報告しなければなりません。

工事金額が100万円以上の工事

工事金額の合計が100万円以上になった場合も、アスベスト調査の結果を報告しなければなりません。例えば、屋根にアスベストが含まれていて100万円以下で塗装工事を行ったとしても、他の工事との合計金額が100万円を超えた場合は、報告の義務があります。

調査結果の報告方法

アスベスト調査の報告は、基本的には請負業者が行います。「石綿事前調査結果報告システム」を使って、オンラインで報告が可能です。施主(発注者)は、アスベスト調査に必要な情報を提供し、費用を支払いましょう。

報告を怠った場合は罰則がある

もし調査結果を報告しなかった場合は、30万円以下の罰金が科せられます。これは請負業者だけではなく、施主も罰則の対象となる可能性があります。施主側は、業者がきちんと結果報告をしたかどうか確認し、連携しながら工事を進めなければなりません。

アスベスト(石綿)含有スレート屋根の撤去費用相場

アスベストが含まれているスレート屋根を撤去する際は、30坪・屋根面積60㎡の住宅で30〜55万円ほどの費用がかかります。費用の内訳は以下の通りです。

  • スレート屋根の撤去費用:3,000~5,000円/㎡
  • 足場の設置費用:1,000~1,500円/㎡
  • アスベストの処理費用:40,000~70,000円/㎡
  • 諸経費:工事費用の約10%前後

費用は屋根面積や状態によって大きく変わるため、余裕を持って予算を設定しておくのがよいでしょう。

アスベスト(石綿)含有スレート屋根の撤去費用を抑えるには補助金の利用がおすすめ

アスベストが含まれている屋根の撤去には、高額な費用がかかります。少しでも撤去費用を安くするためには、補助金を利用するのがおすすめです。自治体によって、アスベストの除去工事に補助金が利用できる可能性があります。補助金額や利用できる条件は自治体によって異なるため、自治体のホームページなどで確認してみましょう。補助金が使えると、費用負担がかなり軽減されるため、工事前に相談しておきましょう。

まとめ

自宅の屋根にアスベストが含まれているかどうかは、築年数や屋根材によって簡易的に判断が可能です。ただし、確実な方法ではないため、リフォームや解体を行う際は必ずアスベストの含有調査を行いましょう。もし屋根にアスベストが使われていても、劣化が進んでいない場合はすぐに撤去する必要はありません。心配なときは、業者に相談して塗装工事や屋根カバー工法、葺き替え工事を実施しましょう。

アスベストが含まれた屋根を撤去する場合は、30坪・屋根面積60㎡の住宅の場合で30〜55万円ほどの費用がかかります。少しでも費用を抑えるためには、補助金の利用を検討するのがよいでしょう。

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Writer この記事を書いた人

西日本アスベスト調査センター(NARC)

1988年設立の当センターは、岡山を拠点に中四国エリアでアスベスト調査・除去を専門としています。豊富な経験と専門知識を持つチームで、安全かつ迅速なサービスを提供。このブログではアスベストに関する重要な情報や安全対策を発信していきます。

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