岡山にお住まいの皆様こんにちは!
建物の解体などを行う際にアスベストやロックウールといった言葉を聞いたものの、それぞれどういったものなのか分からないといった方も多いのではないでしょうか?
この記事では、「アスベスト」と「ロックウール」の概要やそれぞれの違いついて様々な観点から詳しく解説していきます。アスベストとロックウールの違いについて知りたい方はぜひ参考にしてみてください。
アスベストとはどういったもの?
アスベストは自然界に存在する細い繊維状の鉱物の一種で、別名「石綿」とも呼ばれています。火や熱に強く、防音性や吸水性、対薬品性など様々な点において優れているにも関わらず、世界各地で産出されているため手に入りやすく値段も安いという理由から、様々な建築現場などで使用されてきた鉱物になります。
ロックウールとはどういったもの?
アスベストと比較されることの多いロックウールは、人工鉱物繊維のことを指しており、「岩石」や鉄を作る際に出る「鉄炉スラグ」を高温で溶かして加工することによって作られます。別名「岩綿」とも呼ばれており、アスベストと同様に断熱材として使用されてきました。
ロックウールの主な特性には下記のようなものがあります。
- 断熱性
- 耐火性
- 吸音性
アスベストとロックウールの違いとは?
ここからは、ロックウール(岩綿)とアスベスト(石綿)の違いに関して、構造や身体への影響、価格、法律による規制などの観点から詳しく解説していきます。
1.構造
アスベストは天然に存在する鉱物繊維で、繊維の直径が0.1μm程度の細い針が束になったような構造をしています。一方、ロックウールの繊維の直径は3〜5μmとなっており、アスベストのような細く鋭い針が束になったような構造にはなっていません。
また、アスベストは指などで軽く擦っても砕けたりすることがありませんが、ロックウールは指で擦ると簡単に粉々になってしまうという違いもあります。
2.身体への影響
アスベストは先ほど説明した通り、非常に細かい針が束になったような構造をしています。繊維の直径が小さいため肺などの呼吸器系に入りやすく、針のような鋭い形をしているので、肺などに刺さってしまい体内にずっと残った状態になってしまうリスクがあります。
少しの量であればそれほど問題はありませんが、長い期間アスベストを吸い込み続けてしまうと、将来的に病気の原因となってしまう可能性があります。アスベストによって引き起こされる病気には下記のようなものがあります。
- 肺がん(原発性肺がん)
- 石綿肺
- 悪性中皮腫
一方のロックウールは、繊維の直径が大きいため、仮に吸い込んでしまっても呼吸器系に入りにくく、吸入したとしても酸に弱いという性質があり、体内で溶けてしまうため身体に影響を及ぼすことはほとんどありません。
また、アスベストは「発がん性の分類」において、「発がん性が認められている」という「グループ1」に分類されているのに対し、ロックウールは「ヒトに対する発がん性を分類できない」という「グループ3」に分類されています。
3.価格
アスベストは天然に存在する鉱物繊維で、以前は世界各地で手に入れることができたため価格は安い傾向にありました。一方、ロックウールは人工的に作られているため、アスベストと比べて価格が高くなる傾向にあります。
4.法律による規制
ロックウールは健康に対する影響がほとんどないため、法律で特に使用が禁止されているといったことはありません。一方、アスベストは前述の通り身体に悪影響を及ぼす可能性があることから、2006年の9月より製造・使用が法律により禁止されています。最近では解体工事などを行う場合、建物にアスベストが含まれているかの事前調査が義務化されたり、適切な資格を持つ人以外はアスベストの調査を行うことができなくなるといった法改正もされているため、アスベストの法律規制はどんどん厳しくなっているのです。
まとめ
アスベストもロックウールも建築の現場で使用されるという共通点がありますが、その構成や健康被害などに関しては全く異なる特徴を持っています。アスベストの方がロックウールと比べて細いので、長期間にわたって吸引してしまうと肺などに刺さった状態が長く続き、石綿肺や悪性中皮腫といった病気を引き起こす可能性があります。
今はアスベストを使った建材の製造や使用は全面的に禁止されていますが、規制がされる前にアスベストが使われていた建物の解体をする際などには注意が必要です。