吹き付けアスベスト除去工事の流れについて解説します。
こんにちは。西日本全域でアスベスト調査・除去を手がけている西日本アスベスト調査センター(NARC)のブログ担当です。
「吹き付けアスベストの除去工事はどのように進むのか」「費用や補助金の目安が分からず不安…」と感じる方は多いでしょう。
この記事では吹き付けアスベスト除去工事の全8ステップ、工事中に注意すべき7つのポイント、費用相場と補助金活用法、さらに費用を安く抑えるコツまで詳しく解説します。正しい知識を持てば、安心して業者に依頼し、法令遵守で安全な工事を進められます。解体工事や改修工事を検討中の方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
吹き付けアスベスト除去工事の流れ|計画から完了報告までの8ステップ
吹き付けアスベストの除去は、法令を遵守した慎重な作業が不可欠です。以下に、実際の工事で行われる8つのステップを具体的に紹介します。
1. 事前調査・現地確認
まず建築図面や施工資料を確認し、吹き付け材の有無や使用状況を把握します。現地調査では外壁・天井裏などアスベストが潜む箇所を目視で確認します。昭和から平成初期に建築された建物では特に注意が必要です。
2. 試料採取と分析
疑わしい部位から1cm角程度の試料を専用工具で採取します。作業時は養生を施し、防じんマスクと保護服を着用。採取した検体は専門機関で電子顕微鏡などを用いて含有率を判定します。一般的には1検体あたり3万円〜5万円が目安です。
3. 行政への届出・計画書提出
調査結果を基に、労働基準監督署や自治体へアスベスト除去工事の届出を行います。届出には除去計画書や作業工程表を添付し、法令に沿った安全管理体制を示すことが必要です。この手続きを怠ると、施主側も罰則を受ける可能性があるため注意が必要です。
4. 工事計画・近隣説明
工期や作業内容を明確化し、近隣住民へ事前に説明します。粉じんや騒音への配慮、作業時間帯の周知など、近隣トラブル防止が重要です。
5. 隔離養生・負圧装置の設置
作業対象区域をビニールシートで完全に密閉し、内部の空気を外に漏らさないようにします。同時に負圧装置を設置して室内を外部より低い気圧に保ち、粉じんが外に流出するのを防止します。
6. 吹き付けアスベスト除去作業
除去作業では、対象部位を事前に湿潤化して粉じん飛散を抑えながら専用工具でアスベストを削り取ります。除去後の廃材はすぐに二重の石綿専用袋へ入れ、密封します。
7. 廃棄物の収集・運搬・処理
取り除いたアスベスト廃材は、石綿専用袋で二重に密封したうえで、許可を受けた産業廃棄物処理場へ搬送します。最終処分まで法令に従い、適正に管理・処理されます。
8. 濃度測定・完了報告
工事終了後、空気中のアスベスト濃度を測定し、基準値以下であることを確認します。最後に行政へ完了報告書を提出し、正式に除去工事が完了します。
レベル1のアスベスト除去の危険性と後悔しないための7つの注意点
吹き付けアスベストは最もリスクが高いレベル1に指定されています。安全に除去するために、以下7つを必ずチェックしましょう。

1. 有資格者(建築物石綿含有建材調査者)が在籍する業者を選ぶ
アスベスト除去工事では、建築物石綿含有建材調査者などの国家資格者よる調査・分析が必須。契約前に資格証や登録番号を必ず確認しましょう。
2. 工事計画の透明性を確認
作業計画書や工程表には、隔離養生・負圧装置の設置方法・粉じん飛散防止策などが明記されている必要があります。着工前に工事手順と安全対策が十分に説明されているか、発注者自身がチェックすることが重要。
3. 近隣住民への事前説明と苦情対策
アスベスト除去工事では、騒音や振動、トラックの出入りなど、近隣環境への影響が避けられません。工事開始前に近隣への挨拶と日程説明を行うことで、粉じんへの不安や騒音苦情を解消します。
4. 工事中の安全管理(粉じん・騒音・振動対策)
レベル1の吹き付けアスベストは微細な繊維が空気中に浮遊するため、負圧装置や高性能フィルター付き集塵機による徹底的な粉じん管理が不可欠。さらに、作業員は防じんマスク・保護服を着用し、作業区域外に粉じんが出ないよう二重扉式のエアシャワーなどで出入りを管理します。
5. 保険加入状況を必ず確認
請負業者賠償責任保険や労災保険など、必要な保険に加入しているか契約前に確認しておくと安心。
6. 法令遵守の確認(石綿障害予防規則・建設リサイクル法)
石綿障害予防規則や建設リサイクル法など複数の法律に基づき届出が義務付けられています。届出を怠った場合、施工業者だけでなく発注者にも罰則が科されることがあります。
7. アフターチェックと報告書受領
除去作業後は、空気中のアスベスト濃度測定を行い、基準値以下であることを確認します。濃度測定結果や完了報告書は、将来の売却・建て替え時に必要となるため保管必須です。
吹き付けアスベスト除去工事の費用相場と補助金活用法
最後に、吹き付けアスベスト除去工事の費用相場と補助金の活用法、さらにコストを安く抑える3つのコツを詳しく解説します。吹き付けアスベストの除去費用は、建物の規模・アスベストの種類・含有量・施工環境によって大きく異なります。
費用相場の目安
- 1㎡あたり 約8,000円〜30,000円
- 30坪(約100㎡)規模で広範囲除去する場合は 100万円を超えるケース も。
- 狭小地や天井裏など作業が難しい場所では単価が上がる傾向。
費用内訳
- 事前調査・分析費
- 養生・負圧装置設置費
- 除去作業費
- 産業廃棄物処理費
補助金・助成制度の活用
西日本エリアの自治体では、アスベスト除去費用を一部補助する制度を設けている場合があります。老朽化した空き家や建物の解体に伴い、吹き付けアスベスト除去が必要となった際に活用できる補助金を知っておくことで、費用負担を大きく軽減することが可能です。
補助金制度の特徴
- 対象物件:老朽化した住宅や空き家など、一定の条件を満たす建物
- 補助金額:条件を満たせば数十万円規模の補助を受けられるケースあり
- 国や都道府県の支援:国や都道府県が実施する環境省関連の助成制度が利用できる場合もある
申請時に注意すべきポイント
- 申請期限と予算枠:補助金には締め切りや予算枠があるため、早めに確認が必要
- 相談先:各自治体の環境課や建築指導課へ事前に相談し、必要書類を揃えておく
- 手続きの流れ:書類準備 → 自治体への申請 → 審査・決定 → 補助金交付
費用を安く抑える3つのコツ
- 複数業者から相見積もりを取る場合、費用と対応力を比較する
- 補助金の申請を早めに行い、予算枠に間に合わせる
- 解体工事と同時に除去を依頼し、パッケージ契約でコストを抑える
よくある質問(FAQ)
A1:粉じんや騒音の影響を最小限に抑えるため、負圧装置・高性能フィルター・防音養生などを設置します。また、施工前には近隣住民へ挨拶と工事説明を行い、トラブルを未然に防ぐ取り組みを実施します。
A2:建築物石綿含有建材調査者が在籍し、作業員は石綿作業主任者の資格を持つ業者が必須です。資格証の提示を依頼し、信頼できる業者かを確認しましょう。
A3:封じ込めや囲い込みもケースによっては可能ですが、レベル1吹き付けアスベストは長期的に完全除去が最も安全です。専門業者に現地調査を依頼し、最適な処理方法を相談してください。
まとめ|アスベスト調査・除去はNARCへ安心してご依頼ください
吹き付けアスベストは最も危険度が高く、正しい手順と法令遵守が不可欠です。事前調査から届出、隔離養生、除去作業、完了報告までの流れを理解し、費用相場や補助金制度を早めに把握することが、後悔しない工事の第一歩。
西日本アスベスト調査センター(NARC)では、中四国全域(兵庫含む)で調査から除去までワンストップ対応。豊富な実績で個人・法人問わず安心してご依頼いただけます。アスベスト調査・除去工事に関するご相談は、ぜひNARCへお問い合わせください。
厚生労働省「アスベスト(石綿)情報」のページはこちら