アスベスト除去工事の流れを解説します。
こんにちは。西日本全域でアスベスト調査・除去を手がけている西日本アスベスト調査センター(NARC)のブログ担当です。
「アスベスト除去工事はどんな流れで進むのか」「行政への届出は何が必要なのか」――そんな疑問をお持ちではありませんか?古い建物に残るアスベストは、健康被害や法令違反による罰則、近隣トラブルのリスクがあるため、適切な手順を理解しておくことが重要です。
ここでは、アスベスト除去工事の流れを計画から行政への届出、除去作業、濃度測定、廃棄物処理までのステップで分かりやすく解説します。これから解体工事を検討している方や、アスベストの安全対策に関心がある方はぜひ参考にしてください。
アスベスト除去工事計画と行政への届出手順
アスベスト除去工事は、正確な調査と綿密な計画づくりから始まります。安全性と法令順守のため、次の手順を押さえましょう。
事前調査と分析の重要性
- 有資格者による調査:建築物石綿含有建材調査者などの資格を持つ専門家が、設計図面・施工履歴を確認し現地調査を実施。
- 検体採取と分析:疑わしい部位から約1cm角の検体を採取し、電子顕微鏡で分析。1検体あたり約3万〜5万円が目安で、調査の精度が工事計画を大きく左右します。
工事計画書の作成
- アスベストが確認された場合、作業手順・養生計画・飛散防止策を盛り込んだ計画書を作成。
- 負圧除塵装置やエアシャワーの設置計画を含めることで、近隣住民や作業員の安全を確保します。
行政への届出
- 計画書完成後は、大気汚染防止法・建設リサイクル法に基づき、着工7日前までに都道府県または市町村へ届出を提出。
- 提出期限を守ることで、予定どおりの着工が可能になります。
調査から届出までを正しい手順で行うことが、安全かつトラブルのないアスベスト除去工事の第一歩です。
除去作業前に必須!隔離・湿潤化からアスベスト除去までの工程
行政への届出が完了すると、いよいよ現場での除去作業がスタート。アスベスト除去工事では、飛散防止と安全管理が最も重要なポイントです。次に、作業開始から除去完了までの主な手順を紹介します。

作業エリアの隔離養生
まず作業区画をビニールシートで二重に覆い、出入口に二重扉やエアシャワーを設置。負圧除塵装置を稼働させ室内を外気より低圧に保ち、アスベスト繊維が外部へ漏れ出るのを防ぎます。
湿潤化による飛散防止
アスベストは乾燥状態では空気中に舞いやすいため、除去中は専用の噴霧器で水や薬剤を散布して湿らせます。湿潤化により繊維が重くなり、作業員や近隣住民への健康リスクを大幅に減らせます。
実際の除去作業手順
吹付け材や成形板を専用工具で慎重に取り外し、その場で密封します。作業員は防護服と呼吸保護具、二重手袋を着用し、粉じんが作業外へ飛散しないよう細心の注意を払います。
アスベスト除去後の濃度測定と産業廃棄物の適正処理方法
アスベスト除去作業後は、現場周辺の安全を確認するために濃度測定と適正処理が行われます。
空気中濃度測定
作業中および作業後に空気中のアスベスト濃度を測定。国の基準値は10リットルあたり10本以下とされ、測定結果は法定期間の保存が義務付けられています。
廃棄物の収集・運搬と最終処分
除去したアスベストは専用の袋で二重に梱包し、産業廃棄物管理票(マニフェスト)を使用して処分場へ運搬します。最終処分場では、専用設備で安全に埋立処理され、環境への影響を防ぎます。
作業記録と報告書の提出
工事完了後は、濃度測定結果や廃棄物処理証明などをまとめた報告書を行政へ提出。これによって、法的義務を果たし、後のトラブル防止につながります。
この一連の流れを徹底することで、作業後も安心できるアスベスト除去工事が完了します。
タイプ別に見るアスベスト除去工事の費用相場と工期目安
アスベスト除去工事の費用と期間は、「建物タイプ・使用建材・施工環境」の3つが大きく左右します。具体的な目安を以下にまとめます。
建材別の単価目安(1㎡あたり)
建材の種類 | 単価目安(1㎡あたり) |
吹付け材(天井・梁など) | 約 4,000円~6,000円 |
スレート屋根・外壁 | 約 8,000円~12,000円 |
保温材・断熱材 | 約 3,000円~5,000円 |
床材・ビニルタイル | 約 4,000円~7,000円 |
建物タイプ別の費用例
建物タイプ | 延床面積目安 | 費用相場 |
戸建住宅(木造/30坪) | 約99㎡ | 約30万~80万円 |
戸建住宅(鉄骨造/40坪) | 約132㎡ | 約80万~150万円 |
マンション・アパート(200~500㎡) | 複数階・共用部含む | 約200万~600万円 |
工場・倉庫(1,000㎡規模以上) | 広範囲の養生・高所作業あり | 500万~1,000万円以上 |
調査から届出、除去作業完了までの標準的な期間は2週間〜1か月程度が目安です。検体数が多い場合や構造が複雑な場合は、さらに日数がかかることもあります。
安心して任せられる!アスベスト除去業者選びのポイントと注意点
アスベスト除去は高度な専門性が必要なため、信頼できる業者選びが不可欠です。
- 有資格者の確認
建築物石綿含有建材調査者や特定粉じん作業主任者が在籍しているかを確認します。資格を持つ専門家がいることで、安全かつ法令遵守の工事が期待できます。
- 複数業者から見積もりを取るメリット
費用だけでなく、対応力や安全管理体制を比較することで、総合的に信頼できる業者を選べます。
- 保険加入の確認
工事賠償責任保険や労災保険に加入している業者を選ぶと、万一の事故時にも安心です。
よくある質問(FAQ)
A1:作業区域は完全に封鎖されるため、施主や関係者であっても原則として立ち入りはできません。安全確保のため必ず業者の指示に従う必要があります。
A2:自治体によっては、アスベスト除去に補助金や助成制度を設けています。条件や上限額は地域ごとに異なるため、市町村の窓口に事前確認することが大切です。
A3:濃度測定で国の基準(10リットルあたり10本以下)を満たしたことを確認したうえで、廃棄物も適正に処理します。適正に施工されていれば健康被害のリスクはほぼありません。
まとめ|アスベスト調査・除去はNARCへ安心してご依頼ください
アスベスト除去工事は、事前調査・行政への届出・隔離と湿潤化・濃度測定・廃棄物処理という流れです。工程をきちんと踏むことで、安全かつ法令を守った工事が可能になります。特に行政への届出や濃度測定は、健康被害を防ぐためにも欠かせない重要なステップです。
西日本アスベスト調査センター(NARC)は中四国全域(兵庫含む)で対応!アスベスト調査から除去までをワンストップでサポートします。多数の実績を持つ西日本アスベスト調査センター(NARC)なら、個人様・法人案件にも柔軟に対応できますので、安心してご相談ください。
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