こんにちは!中四国でアスベスト(石綿)調査・除去工事をおこなっています西日本アスベスト調査センター(NARC)のブログ担当です。
近年、解体工事の義務化やメディアでの報道により、「アスベスト(石綿)の健康被害」という言葉を耳にする機会が増え、ご自身の所有する建物やご家族の健康について不安を感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
特に、古い建物の解体やリフォームをご検討中の方は、「アスベストが飛散して、もし自分や家族の健康に影響が出たらどうしよう」という切実な悩みをお持ちのことと思います。
この記事では、アスベストがなぜ危険なのかという基礎知識から、具体的にどのような健康被害をもたらすのか、そして最も重要な「健康被害を防ぐための正しい対策と調査の重要性」までを徹底的に解説します。
この記事を読むと、アスベストが引き起こす病気の種類や発症リスク、そして法的な調査義務や利用できる国の救済制度について明確に把握できます。
この記事は、築年数の古い建物の解体・改修を検討している方、ご自身の健康被害リスクについて知りたい方、そして何よりもご家族の安全を確保したいと考えている解体工事購入検討層の方はぜひ最後まで読んでみてください!
アスベスト(石綿)とは?その基礎知識と危険性が健康被害に繋がる理由
アスベスト(石綿)は、天然に存在する繊維状の鉱物であり、かつてはその耐熱性、耐久性、絶縁性の高さから「奇跡の鉱物」と呼ばれていました。
しかし、この素晴らしい性能の裏には、取り返しのつかない健康被害を引き起こすという、非常に大きな危険性が隠されています。
この危険性が、現在の社会問題に繋がっているのです。
アスベスト(石綿)が日本で広く使われていた背景と現在の規制状況
アスベスト(石綿)は、1950年代から1980年代にかけて、建築材料や摩擦材として日本国内で大量に使用されてきました。
特に、鉄骨造の耐火被覆材や断熱材、屋根材、内装材など、多岐にわたる箇所で利用されていた歴史があります。
建物の安全性を高め、火災を防ぐという目的において、当時の建材としては非常に有効なものでした。
しかし、1970年代以降、この石綿による健康被害が国際的に問題視され始め、日本でも段階的にその使用が規制されていきました。
現在では、原則としてアスベストの使用は全面的に禁止されており、古い建築物に既存するアスベストの飛散を防ぐことが最も重要な課題となっています。
特定アスベスト(労働安全衛生法で規定される危険な種類)を含む建材の除去や解体に関する法規制も年々厳格化されています。
アスベスト(石綿)の繊維が人体にもたらす健康被害のメカニズム
アスベスト(石綿)が健康被害を引き起こす最大の原因は、その非常に細い繊維構造にあります。
アスベストの繊維は、目に見えないほど細く、空気中に飛散すると知らず知らずのうちに呼吸によって肺の奥深く(肺胞)まで吸入されてしまいます。吸入されたアスベスト繊維は、非常に丈夫なため、体内の免疫細胞(マクロファージ)でも分解・排出することができず、そのまま肺や胸膜に残り続けてしまうのです。この残存した繊維が、数十年という長い潜伏期間を経て、周辺の細胞を刺激し続け、炎症や遺伝子の異常を引き起こすことで、後に解説する様々な重篤な健康被害へと繋がります。
知っておくべきアスベスト(石綿)による主な健康被害の種類と症状
アスベスト(石綿)への暴露によって引き起こされる健康被害は、主に呼吸器系、中でも肺や胸膜に発生します。
これらの病気は、暴露してから発症するまでに非常に長い潜伏期間があることが特徴であり、数十年後に突如として症状が現れるため、「静かなる時限爆弾」とも呼ばれています。
中皮腫、肺がん、石綿肺などが代表的な病気として知られています。
最も危険な健康被害「中皮腫」の初期症状と進行速度
中皮腫は、アスベスト(石綿)による健康被害の中で最も深刻な病気の一つです。
これは、肺を包む胸膜や、腹部の臓器を覆う腹膜、心臓を包む心膜などにできる悪性腫瘍です。中皮腫の初期症状は、咳や胸の痛み、息切れなど、風邪や他の一般的な病気と区別がつきにくいため、見過ごされがちです。しかし、病気が進行すると、胸に水が溜まる(良性アスベスト胸水)、食欲不振、体重減少などが顕著になり、進行速度が速いケースも少なくありません。
(ライターの実体験風エピソード) 私の父の友人にも、若い頃に建築現場で働いていた方がいました。その方は退職して数十年経ってから、原因不明の軽い咳と息苦しさを感じ始めたそうです。初めは歳のせいだと見過ごしていたのですが、病院で精密検査を受けた結果、進行した中皮腫と診断されました。アスベストを扱っているという認識もないまま働いていたため、まさか自分がというショックは計り知れないものでした。この経験から、過去に少しでもアスベスト暴露の可能性がある方は、症状の有無にかかわらず定期的な健康診断の重要性を痛感しています。
アスベスト(石綿)による肺がんの特徴と他の肺がんとの違い
肺がんも、アスベスト(石綿)暴露によって発生リスクが高まることが医学的に証明されている健康被害です。アスベストによる肺がんは、特に喫煙者がアスベストに暴露した場合に、相乗効果でリスクが飛躍的に高まることが特徴です。一般的な肺がんとアスベストによる肺がんを症状だけで区別することは難しいですが、アスベストが原因である場合は、病理検査によって肺組織内にアスベスト繊維(石綿小体)が確認されることがあります。アスベスト暴露歴がある方が、持続的な咳や血痰、胸痛などの症状を自覚した際には、必ず医師にその旨を伝える必要があります。
アスベスト(石綿)が原因となるその他の健康被害(石綿肺、胸膜疾患など)
アスベスト(石綿)は、中皮腫や肺がん以外にも、いくつかの深刻な健康被害を引き起こします。石綿肺(じん肺の一種)は、多量のアスベスト繊維を吸入したことによって肺組織が硬くなる(線維化)病気です。初期は無症状ですが、進行すると呼吸機能が低下し、重度の呼吸困難を引き起こします。また、胸膜が厚く硬くなるびまん性胸膜肥厚や、胸水が溜まる良性アスベスト胸水などの胸膜疾患も、アスベスト暴露の代表的な健康被害です。これらの病気は、特に症状が慢性化しやすく、日常生活におけるQOL(生活の質)を大きく低下させます。診断は、CTスキャンなどの画像検査や呼吸機能検査に基づいて行われます。
アスベスト(石綿)による健康被害の発症リスクが高い人とは?
アスベスト(石綿)による健康被害は、誰でも発症する可能性があるわけではありません。主に、アスベストが大量に飛散している環境で作業していた人や、飛散した環境に近い場所で生活していた人が高リスクであるとされています。暴露(ばくろ)量と期間が長ければ長いほど、発症リスクは高まることが分かっています。
過去にアスベスト関連業務に携わっていた作業員のリスクと対策
過去、高度経済成長期にアスベスト関連製品の製造や、アスベスト含有建材の吹き付け、切断、解体といった作業に従事していた作業員は、特に高い健康被害のリスクを負っています。具体的には、造船業、建設業、特に解体業や内装業、そしてアスベスト製品を扱う工場での勤務経験がある方です。これらの職種では、高濃度の飛散性アスベストを吸入していた可能性が高く、数十年後の発症に備えた定期的な健康管理が不可欠です。国は、これらの作業員に対し、石綿健康被害救済制度や労災保険の特別措置法による補償制度を用意しています。
一般住宅や建物の解体・改修工事でアスベスト健康被害を受けるリスク
解体工事購入検討層にとって、最も身近なリスクは、所有する建物の解体や大規模なリフォームを行う際に、既存の建材に含まれるアスベスト(レベル1やレベル2のアスベストが特に危険)が飛散することです。適切な事前調査や飛散防止措置を講じずに工事を進めてしまうと、作業員だけでなく、近隣住民や建物解体後の土地利用者が健康被害を受けるリスクが生じます。建物の所有者や発注者には、法律に基づいたアスベストの事前調査と、適切な対策を講じる義務があります。この義務を怠ると、罰則の対象となるだけでなく、後々健康被害を巡る訴訟問題に発展する可能性もあります。
アスベスト健康被害を防ぐための正しい対策と調査の重要性
アスベスト(石綿)による健康被害は、潜伏期間が長いため、今あるリスクを未然に防ぐ「予防」が最も重要です。予防の第一歩は、建物にアスベストが使われているかどうかを正確に把握すること、つまり「事前調査」に尽きます。法定義務化されている事前調査は、健康被害を食い止めるための最前線なのです。
建物所有者に義務付けられているアスベストの事前調査
2022年4月の法改正により、一定規模以上の解体・改修工事を行う建物所有者(発注者)には、アスベストの有無を事前に調査することが法的に義務付けられました(法定義務)。この調査は、厚生労働大臣が定める講習を修了した者、または同等以上の知識を有する者が行う必要があります。
事前調査のメリットは、主に以下の4点です。
- 一つ目に、アスベストの有無や種類、使用箇所が明確になり、工事計画を安全かつ効率的に立てられる点です。
- 二つ目に、法定義務を果たし、適正な手続きで工事を進めることで、罰則や行政指導のリスクを回避できる点です。
- 三つ目に、作業員や近隣住民へのアスベスト暴露を防ぐことで、社会的な責任を果たすことができる点です。
- 四つ目に、将来の売却時などに「アスベスト調査済」として建物の資産価値を正確に評価できる点もメリットと言えます。
一方で、デメリットも存在します。
- 一つ目に、調査自体に費用が発生し、特に分析を伴う場合は数万円から数十万円のコストがかかる点です。
- 二つ目に、調査結果によっては工事期間が延長されたり、除去費用が発生したりして、全体のコストが増加する可能性がある点です。
- 三つ目に、調査結果を所轄の自治体へ届出する必要があるため、手続きに手間と時間がかかる点です。
- 四つ目に、目視できない箇所(壁内など)については、一部破壊検査が必要になる場合があり、一時的に建物の構造に影響を与える可能性がある点です。
調査でアスベストが発見された場合の除去・封じ込め・囲い込み
事前調査の結果、アスベストが発見された場合は、飛散防止策を講じる必要があります。主な対策として「除去」「封じ込め」「囲い込み」の3つの方法があります。
除去工事のメリットは、以下の4点です。
- 一つ目に、アスベストを物理的に建物から取り除くため、将来にわたって健康被害のリスクを完全に排除できる点です。
- 二つ目に、除去後の建物はアスベストを含まない安全なものとなるため、リフォームや解体の自由度が向上し、売却時の評価も高まる点です。
- 三つ目に、法的な解体工事の手続きをスムーズに進めることができ、その後の土地利用においても制限が少なくなる点です。
- 四つ目に、除去工事は専門の技術と設備を要するため、適切な業者に依頼することで、確実に飛散リスクをゼロにできる点です。
一方で、デメリットも存在します。
- 一つ目に、専門的な技術、養生、廃棄物処理が必要となるため、除去費用が他の対策と比べて最も高額になる点です。
- 二つ目に、厳重な養生や作業工程が必要となるため、工事期間が長期化しやすい点です。
- 三つ目に、作業中に一時的に周辺への飛散リスクがわずかながら発生するため、近隣住民への丁寧な説明と配慮が必要になる点です。
- 四つ目に、特にレベル1やレベル2の飛散性が高いアスベストの場合、特殊な技術とノウハウを持つ業者でなければ対応が難しくなる点です。
アスベスト(石綿)の健康被害に関する国や自治体の救済制度
過去にアスベスト(石綿)に暴露し、健康被害を受けてしまった方々に対して、国は複数の救済制度や補償制度を設けています。これらの制度は、被害者とそのご家族の経済的負担を軽減し、適切な治療や生活の支援を目的としています。
アスベスト健康被害の補償制度の概要と申請の流れ
現在、アスベスト(石綿)による健康被害に対して適用される主要な制度は、「石綿健康被害救済制度」と「労災保険」およびその特別措置法です。
石綿健康被害救済制度は、業務による暴露かどうかにかかわらず、中皮腫や肺がんなどの特定疾病にかかった方を救済する制度です。この制度を利用することで、医療費や療養手当、葬祭料などの給付金を受け取ることができます。申請の流れは、まず環境再生保全機構または指定の窓口に相談し、特定疾病の認定申請を行います。認定には、アスベスト暴露の事実と、疾病がアスベストによるものであるという医師の診断が必要です。
一方、過去に業務でアスベスト(石綿)に暴露したことが原因で特定疾病を発症した方(作業員)には、労災保険による補償が適用されます。労災保険は、医療費、休業補償、遺族補償など、より手厚い補償が受けられることが特徴です。業務上での暴露が原因と認められる場合、特別措置法により、労災保険の時効が過ぎていても救済される可能性があります。
優良なアスベスト調査・除去業者を選ぶ際の5つのチェックポイント
アスベスト(石綿)の調査・除去工事は、人命に関わる非常に専門性の高い工事です。解体工事購入検討層の方が安心して任せられる優良な業者を選ぶためには、以下の5つのチェックポイントを確認することが重要です。
- 特定調査者資格の有無と経験: 法律で定められた特定調査者(または一般調査者)の資格を持つ技術者が在籍しているか。資格だけでなく、過去の調査実績(特に古い建物や複雑な構造の建物)が豊富にあるかを確認しましょう。
- スピード対応と届出実績: 調査から分析、結果報告までのスピードが早いか、特に解体工事の期限が迫っている場合は、迅速な対応が可能な西日本アスベスト調査センター(NARC)のような業者を選びましょう。また、行政への届出や申請業務を代行してくれる実績があるかも重要です。
- 適正な見積もりと透明性: 見積もりの内訳が明確で、調査や除去の際にどのような手法を用いるのか、なぜその費用になるのかを専門用語を使わずに分かりやすく説明してくれるかを確認しましょう。極端に安価な業者は、不適切な処理を行うリスクがあるため避けるべきです。
- 万全な飛散防止対策と安全管理: 除去工事を行う場合、現場での養生計画や作業員の保護具着用、廃棄物処理の方法が法令に則って厳格に行われているかを確認しましょう。飛散防止のための作業計画書を提出してもらうのも良いでしょう。
- 地域密着の信頼性とアフターフォロー: 地元の規制や建築事情に詳しく、地域での実績が豊富な業者は信頼性が高いです。また、工事後の確認測定や、万が一の際のフォロー体制(アスベスト健康相談窓口の案内など)が整っているかも重要な判断基準です。
まとめ
この記事では、アスベスト(石綿)がもたらす中皮腫や肺がんといった重篤な健康被害のメカニズムから、そのリスクを防ぐために建物所有者に課せられた事前調査の義務、そして万が一被害にあった際の国の救済制度までを詳しく解説しました。
アスベストによる健康被害は、一度発症すると非常に深刻ですが、そのリスクは事前調査と適切な除去工事によって「未然に防ぐことができる」ものです。
建物の解体や改修を検討されている方は、目先のコストだけでなく、ご自身の健康とご家族、そして将来の建物の安全を守るために、法定義務である事前調査を必ず実施してください。
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